みーた、ヒモになりたい

ちょっぴりノスタルジックな現役大学生の世界観

忘年会幹事の男の人に惚れかけた話

人を喜ばせたり、楽しませたりできる人は素敵だ。そう思った。

 

今週、他研究室との合同忘年会があった。合同で行うのは今回が初めての試みだ。こちらの先生が向こうの研究室出の方だったのもあって、参加者に声をかけるのは比較的やりやすかったそうだ。参加した人は研究室に所属している人全員ではなく、先生と繋がりのあるコースの人達が集められた。ボーリングと食べ飲み放題が忘年会の内容だと聞かされていた。

 

予定されていた忘年会の日にちは普通の平日だった。この日もいつもと変わらず大学で卒業研究の続きをするために朝7時半に起きる予定だった。いつも12時過ぎくらいまでゲームをしているので、明日もどうせ起きるのしんどそうだな、なんて思っていた。

 

朝起きて目覚ましを止めて、ベッドから降りた時、体が軽いことが分かった。いつもはベッドの上でいもむしみたいにくるまっているからシャワーを浴びに行くのにも一苦労なのに、この日は頭がすっきりしていた。風呂場まで駆け足で向かっていた。バスタオルで濡れた髪を乾かしながら歯を磨いている時、足でリズムを刻んでいた。コンタクトを入れている時、いつもなら絶対チョイスしないようなバラードの鼻歌を歌っていた。なんとなくだけど自分が思っているよりも今日の忘年会を楽しみにしていたことが分かった。「忘年会楽しいといいなぁ」。大人数で遊んで、飲んで、食べて、語り合う。最近卒業研究が忙しくてそんなこと出来なかったから、想像するだけでも気が緩んでしまう。

 

午後7時。無事実験を終え、大学のとある集合場所に集まった。一回全員で集まってから電車に乗ってボウリング場に行く予定だったらしい。雨で若干溶けた雪道を通った。乗った電車はがらがらで、くだらない話をしながらつり革にぶら下がって揺られていた。この間も当然ボーリングのイメトレは欠かしていない。前ボーリングしたのは中学生の時かな。上手く投げれる自信が全然無かったけど、あまり話したことのない他研究室の人達に恥ずかしい姿は見せたくないのだ。

 

ボーリング場に着いて、幹事がチーム分けをしますと言って、事前に作っておいたくじを皆に配っていた。書かれたものが一緒の人が同じチームになるという具合だ。書かれていたのは全てハリーポッターに準ずる単語みたいなものらしく、なんとなくなんだけどこの時点で幹事のセンスみたいなものに惹かれていた。自分なら何も考えずに間違いなく1,2,3,4で振り分けてしまうと思った。すこしだけ羨ましくなった。

 

レーンに割り当てられてボーリングが始まった。結論からいうと自分はありえんほどド下手だった。イメトレとはいったい何だったのか。腕も足も思った通りに動かなくて、ガーターを出した後に1ピンしか倒れなかったときは皆でげらげら笑った。すごく楽しかった。

 

食べ飲み放題の店では豚しゃぶしゃぶに串、1品メニューなど種類がそこそこあった。こんなおしゃれなお店で、しかも3000円いかないなんて。ここでもやはり幹事は飲みの店に詳しい男というか、さらっとお店を紹介出来る系男だと判明してしまう。格好いい。幹事として皆の前で一言乾杯の挨拶をしても、クールに決めてしまうのだ。

 

11時半、宴も酣。そろそろお開きになろうかという所で幹事が一言。「ビンゴ大会、やりませんか。実は用意してます」。なんだそれは。格好よすぎる。今日の流れ、すべてが完璧すぎる。ボーリングでひと汗かいて研究室間の仲を深め、飲みの席で多少の冗談を交えながらいじりいじられ、そして最後ビンゴをして盛り上がろうというのだ。天才なのか?

ビンゴが進み、次第に景品が無くなっていくなか、幹事が「最後の景品ですが、これは4年生もしくは修士1年だけ混ざってください」。なんだなんだと周りはざわつく。4年生である自分は該当する。持っているビンゴカードは2リーチ。幹事が引いたボールはまさかの僕をビンゴに導く最高の番号だった。

 

「おめでとう。これからはこれを使って盛り上げて」。幹事から渡されたのは今の今までビンゴで使っていたマシーン。がらがらと回して玉を取り出すやつ。次の忘年会はこのビンゴを使って楽しい会にしてほしい。とか、これからもこの合同忘年会を続けていってほしい。とか、いろんな思いがあった気がした。いや、なんとなくなんだけど多分そんなことは幹事は考えてないだろう。でも渡されたマシーンは思ったよりもちょっとだけ重く感じた。

 

今回の合同忘年会では終始幹事の参加者を楽しませたい、喜ばせたいという気持ちが凄く伝わるものだった。他研究室の方は実は先生が1人来ていたが、すごく楽しかったとおっしゃっていた。この会最初から最後までの全体を含めた忘年会。これが幹事力、いや男としての才能だと圧倒された。

 

他の人からすればいやいやこんなことで凄いとか、みたいに思うかもしれないけど、当事者からすればやはり圧倒されるものがある。素直に、こういう人になりたいと思った。憧れた。羨ましいと思った。

 

自分はこの研究室が結構気に入っている。部屋の雰囲気とか居心地が良い。だから、もし来年から入ってくる3年生の後輩達にもそう思ってもらえるならそれはすごくうれしい。今週の研究室ゼミでは自己紹介の時間も兼ねて3年生と一緒にやったらしいけど、実験の予定が入ってしまって自分は出れなかった。次に実際会ったり会話をする機会ができるのは多分この研究室全体でやる12月の忘年会の時だ。この時は3年生も呼んで、飲んで話して笑いあうのだ。毎年この忘年会は4年生が計画を立ててお店を予約することになっている。

 

その時は、貰ったビンゴマシーンを持って行こうと思う。